全選手に浸透していた「前線からのプレス」と「ショートカウンター」の意識
もちろん守備そのものも堅く、ミランがボールを奪っても素早い帰陣でスペースを消す。ミランの守備陣も粘ったため試合は拮抗したが、両者は似たような戦術を取りながら、気がつけばシュート数でユーベが上回っていた。
ただ、そんなユーベはたった一つほころびを見せ、ミランはそれを見事に突く。それが後半20分の決勝ゴールのシーンだ。
右サイドでイニャツィオ・アバーテとスソがパスを回したのち、スソは中盤にスペースがあることを確認してパスを回す。そこにはロカテッリが走り込むが、ユーベの選手は誰も付いてきていなかった。ロカテッリは迷うことなく、右足を振る。強烈なシュートはジャンルイジ・ブッフォンの指先を超え、ゴール左上隅に突き刺さった。
前線のFW陣が執拗なプレスに苦しむ中、迷わずシュートを打ち切ったロカテッリ個人の功績が大きいことは間違いないが、奪ってから素早くスペースを探してチャンスを築こうという意識が、選手間に浸透していたからこその得点でもあったことだろう。