心技体でいまだ成長。「26歳で日本代表」という夢は間近に
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督をも魅了し、J2クラブからはただ一人招集された今回の日本代表候補合宿。西川、東口順昭(ガンバ大阪)、林彰洋(サガン鳥栖)のA代表経験者との面識はなかった。リオデジャネイロ五輪代表の櫛引政敏(鹿島アントラーズ)も然り、だ。
しいて挙げれば「J2を戦っていた昨シーズンに顔を合わせたかな」と苦笑いする中村航輔(当時アビスパ福岡、現柏レイソル)だけだが、だからといってシュミットが気後れすることはない。フィールドプレーヤーのハードワークと球際の強さ、そして堅守を武器に、J1への自動昇格圏となる2位をキープする松本での濃密な日々が、自身の血肉になっていると自負しているからだ。
「1試合で受けるシュート数が少ない。昨シーズンは熊本でプレーしていた分、余計に感じていることなんですけど、逆に考えれば1本のシュートにかける集中力をものすごく高めないといけない。喫した失点も含めて、そこは今シーズン、いい経験を積めているのかなと思う。
試合中のこういう時間帯にはこういうことが起きる、といったことが傾向として出てくる。そういう点をチーム全体で注意しながら試合の流れを呼び込めるような力を身につけられれば、ここまで全試合に出ている意味がある。(代表候補になって)ひとつのミスなども取り上げられると思うけど、周りの目や声を気にしすぎることなくやっていければベストですよね」
公式プロフィールでは196センチだが、実は年明けに身長を測ったときに1センチ伸びて、197センチになっていることが判明した。
「いや、もう止まってほしいですよ。2メートル? それはいらないです」
苦笑いを浮かべたシュミットだが、いまだに成長を続けている“体”と同じく、“技”と“心”もまだまだ進化する余地をたっぷりと残している。左足首を痛めた影響で最終日の19日は残念ながら見学となったが、初体験の日本代表候補合宿で得た刺激は、かねてから描いてきた「26歳で日本代表」という夢を大きく前倒しにしたはずだ。
(取材・文:藤江直人)
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