シュミット、GK合宿に招集。田中隼磨も抱いた“確信”
寒風吹きすさぶ今年1月15日の新チーム始動から、静岡・御殿場市内の時之栖に場所を移しての第1次キャンプへ。ピッチで共有する時間が増えていくごとに、松本山雅FCのMF田中隼磨はある“確信”を抱くようになった。
「やがて代表に入れるはずだ」
視線の先には、新加入選手のなかでも群を抜いて背が高く、いやがおうでもその一挙手一投足が目立つシュミット・ダニエルがいた。J1のベガルタ仙台から期限付き移籍で加わった、まもなく24歳になる196センチ、90キロの異色のゴールキーパーは、ほどなくしてレギュラーの座をゲットする。
迎えた2月28日のJ2開幕戦。くしくも昨シーズン途中から期限付き移籍し、26試合にわたってゴールマウスを守ったロアッソ熊本のホーム、うまかな・よかなスタジアムから、アメリカ・イリノイ州でアメリカ人の父と日本人の母の間で産声をあげ、2歳からは仙台で育ったシュミットの飛躍が始まる。
名古屋グランパス時代に、田中は日本代表の守護神を拝命していた楢崎正剛と同じピッチで5年間プレーしている。だからこそ、シュミットが桁違いのポテンシャルを秘めていることがすぐにわかった。以来、ことあるごとにホープへこんな言葉をかけてきた。
「経験を積めばもっとよくなる。上を目指せるぞ」
田中の言う「上」とは、もちろん日本代表に他ならない。初対面から9ヶ月。田中が抱いた予感は、松本のクラブ史上初の“快挙”となって現実のものとなる。大阪・堺市内で17日から行われたゴールキーパーを対象とした日本代表候補合宿に、開幕戦からフルタイム出場を続けていたシュミットが抜擢された。