改めて図った意思統一
「大事なゲーム、大事な時間帯でやるべきこと、最低限の条件の中でやるべきことという意味では、それが浸透していなかったのか、頭に入っていなかったのか、ちょっと選手一人ひとりに気持ちを聞いてみないと……」
試合直後、指揮官は悔しさを噛み殺しながら話している。あの時間帯でやるべきことが選手たちに浸透していたのか。数日後、改めて聞いた。
「やっぱり入っていなかったね。浸透していなかった。映像を見ても明らかだったし、そこまで集中してやっていたボックス内の守備というのが、山崎(亮平)が入ってきてちょっと圧に押された感もあったけど、それ以上に自分たちで苦しめた縦パス、横パスがあった」
新潟戦のような負け方は、受け入れがたいものがあるだろう。勝ち点1も狙う中で終盤に失点し、そのまま試合が終わったのだから。“普通に負ける”という表現は不適切かもしれないが、そうした敗戦の方がある意味で開き直りやすい。
とはいえ、いつまでも引きずっている時間的猶予は今の磐田にはない。早々に気持ちを切り替えて3週間後の決戦に備えなければいけなかった。
チームとして残り3試合の戦い方も、改めて意思統一を図ったようだ。
「元に戻そうということ。俺が選手に言ったのは、難しいことというか、『0か3かじゃなくて1もある』というのじゃなかったなと」
名波監督にしては遠まわしな言い方だが、要するにドロー狙いのサッカーではなく最後まで勝ちに行く、という意味だろう。
「危険を感じて何かを起こそうとしても、なかなかすぐには変えることはできないと思う。だから春先からやってきたスタイルをもう一度やっていこうということで、チームとしても確認し合った」
宮崎もこう話している。状況に応じてリアクションで対抗するのではなく、最後までアクションを起こすことで選手個々にも迷いがなくなるはずだ。原点回帰、といっていいだろう。