「小野伸二のようになれる」地元メディアからは絶賛の声
さらに84分、三たびボルダが失態を犯す。途中出場のアレックス・ブロスクに最終ラインを突破されると、たまらず後ろから手をかけて倒してしまった。ファウルした位置はペナルティエリアの外だったが、当然ボルダにはレッドカードが提示される。そしてブランドン・オニールに直接FKを決められた。
10人になったWSWは試合終了間際にもアレックス・ブロスクにゴールを許し、最終的に0-4で敗れた。
楠神が「1点入ったらすぐ崩れちゃうから、これをどうにかしないと。全体的に浮き足立っているというか、落ち着いてサッカーできていない」と語る通り、先月21日に行われたFFAカップ(日本の天皇杯に近いカップ戦)のメルボルン・シティ戦(1-4)と同じような負け方だった。
しかし、WSWのクラブ史上4人目となる日本人選手を取り巻く周囲の反応は非常にポジティブなものばかりだ。取材していたメディアは一様に楠神のプレーを絶賛する。
記者会見場でオーストラリアの著名なサッカー記者、レイ・ガット氏と会話していると「エクセレントプレーヤー。飛び抜けている。本当に素晴らしい。彼が日本でほとんど試合に出ていなかったって本当かい? スキルフルで素早く、ボールを前に進めることができる。本当に印象深い活躍だった」と楠神を褒め称えた。
WSWの不甲斐ない負け方の原因が守備にあるのは明らかだが、無得点の攻撃に関して「楠神をチームの中心に据えるべき」と率直な意見も述べてくれた。
有力誌『フォー・フォー・ツー』の若手記者、クレメント・ティト氏も「スペシャルな選手。シャープで、Aリーグにおける小野伸二のようになれる。左サイドではペナルティエリア付近で違いを作れる。今夜は左に入ってからゴール前に飛び込めるようになって良くなった。右でも縦に突破できるね。彼はAリーグを席巻できると思う」と、かつてWSWに所属したレジェンドになぞらえた。
クラブも公式に楠神のプレーだけを集めた動画を作って公開し「ジュンペイは傑出していた」と大絶賛。トニー・ポポヴィッチ監督も記者会見で「ジュンペイはもっとよくなる。彼は頭がいい」と個人に言及してそのプレーぶりを高く評価した。