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Jリーグ 8年前

浦和・西川とG大阪・東口、東西の日本代表GKが語るルヴァン杯決勝3つの分岐点

text by 舩木渉 photo by Getty Images

3つ目の分岐点:PK戦

ルヴァンカップ決勝
PK戦で呉屋大翔のシュートをセーブした西川周作【写真:Getty Images】

 3つ目の分岐点はもちろんPK戦だ。結果だけ見れば、G大阪の呉屋大翔が失敗して浦和レッズが勝利したとなるが、GKの戦いは主審との打ち合わせから始まっていた。

 東口はPK戦開始の時点ですでにイエローカードを1枚もらっていたため、主審から「早いタイミングで足を(前に)出してはいけない」と警告されたという。それを受けて「先に(前へ)動くことは許されなかった」と東口は明かした。

 PKの際、GKはキッカーがボールを蹴る瞬間までゴールライン上にいなければならず、前に出て距離を詰めてしまうと蹴り直しが命じられる。そこに今年6月から改訂された新競技規則では「PKにおいて、ボールが蹴られる前にGKがゴールラインから離れるなどの違反をし得点にならなかった場合、GKは警告される」という罰則が加えられたため、東口にとっては油断できない状況になっていたのだ。

 西川はその時の2人の心境を「僕はまだイエローカードをもらっていなかった。逆に東口選手は1枚もらっていて、レフェリーにPK戦が始まる前に注意されていたので、僕より東口選手の方がプレッシャーはあったんじゃないかと思う」と分析した。

 審判との駆け引きもありながらPK戦が始まる。3人目までは両チームとも全員成功させたが、先攻のG大阪の4人目、呉屋の蹴ったボールはコースが甘くなり、相手の蹴る瞬間まで動かず待っていた西川の右足にセーブされた。結局この1本が浦和を勝利に導いた。

 これまでPKが苦手とされてきた2人の戦いは、西川に軍配が挙がった。なんと浦和加入後初めてのPKストップだったという。しかし、そこには明確な戦略とアプローチの変化があった。西川は語る。

「絶対に1本は真ん中にくるなと思っていたので、1本目も蹴られたボールに対していこうと思っていた。多少反応が遅れても、その後のキッカーに対してプレッシャーを与えられると思っていた。PK戦は先をイメージしながら、今野選手が真ん中に来た時点で次は動かないようにと決めたので、自分を信じて良かった」

「向こうの意識的にも西川はサイドに飛ぶという情報が入っていたかもしれないですし、いままでがそうだった。ここでしっかりと真ん中をケアすることで、これからのPKにまたひとつデータが増えたということでプレッシャーにもなると思いますし、基本を大事にして良かった」

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