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日本代表 8年前

浅野拓磨が日本の「切り札」になるために必要な「結果」。豪州FWケーヒル、実績に裏打ちされた信頼

text by 舩木渉 photo by Getty Images

ケーヒルが積み上げた信頼。唯一無二の武器

 そもそもケーヒルは技術的にそれほど優れたものを持っている選手ではない。怪我に強い、安定感抜群などの特徴こそあれど、世界のトップレベルで決定的な仕事をするタイプではなかった。では、なぜ神のように畏れられるのか。

 それは他に比べて傑出した武器があり、それによって大事な場面で観る者の記憶に残る結果を残し続けてきたからだ。異常なまでのヘディングの強さと、それに付随するクロスに合わせる技術やゴール前での巧みな駆け引き、チームを束ねる強烈なパーソナリティが愛される所以だ。

 もちろん浅野にヘディングの強さを求めているわけではない。本人が「ヘディングは特に僕には求められていることではない」と語る通りだ。彼が生かすべきは、天から授かった才能、爆発的なスピードである。

 オーストラリア戦、82分から途中出場した浅野は少ない時間で何度もゴールに迫った。原口元気のクロスにわずかに合わなかった場面は「自分のタイミングよりも一個早く、そしてパススピードもすごくいいスピードのパスがきた。あの体勢でなかなか厳しいなと思いながら、入ってしまっていたところがあるので、ちょっと遅れてしまった」と悔やんだが、持ち味のスピードで終盤の停滞した局面に火をつけた。

「スペースはあったので、とにかく前に抜け出せというのは言われました。それだけじゃなく守備のところであったり、本田さんがやっていた役割を忘れるなと言われていましたが、なかな自分も守備になった時にどういうポジションでどこを見ればいいのか把握できていなかった。そこは自分として課題ですし、攻撃になった時にはオフサイドに何本かなってしまいましたけど、そこの意識は悪くなかった」

 冷静に自らのプレーを振り返る“ジャガー”は、与えられた役割を十二分に理解していた。あとはゴールだけが足りない。オーストラリア戦に限っては守備時の決まりごとが非常に難しく、途中出場でいきなり周りと合わせるのは至難の業だっただろう。

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