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ルーニー、代表戦でも「当然」のベンチ送り。迫られるMF転向の決断。黄昏の主将に歩み寄る“酷な命運”

イングランド代表で若くからその才能を発揮し、活躍を見せてきたウェイン・ルーニー。しかし最近の代表戦ではベンチスタートになる試合も多く、国内でも「当然」という声が上がっている。本来のポジションはFWだが、その献身性や万能性から近年はMFでの起用も増えている。マンチェスターユナイテッドでもポジションを失いつつあるように、本格的なMF転向への決断を迫られているのかもしれない。果たして、黄昏の主将は“酷な命運”へと向かってしまうのだろうか。(取材・文:山中忍【ロンドン】)

text by 山中忍 photo by Getty Images

ルーニーが背負った背番号は「10」ではなく「18」

ルーニー
イングランド代表のウェイン・ルーニー【写真:Getty Images】

 去る10月11日の2018年W杯予選スロベニア戦(0-0)で、ウェイン・ルーニーが付けていた背番号は18番。スタート位置はイングランドのベンチ。それでも、母国内での反応は「なぜ」ではなく「当然」。24日で31歳になるイングランドの元「至宝」は、限界説が高まる中で今季を送っている。

 冷めた言い方をすれば、やむを得ない事態ではある。加齢による肉体的な衰えは、昨季後半にMFへの転向意思を口にした当人も自覚しているはず。FWとして猛烈に相手ゴールに迫る姿が影を潜めて数年が経過している。そこで、スピードや馬力ではなく技術とセンス、そして経験値を武器に周囲を操る役割を新たに担いたいところだが、言うは易く行うは難しだ。

 決意も新たに復興を目指すイングランド代表には、実戦を通じて磨かれるべき若い世代が育っている。トップ下は、「ダイナミックでテクニカルなデレ・アリのもの」という見解が識者間でも圧倒的。センターハーフにも、アリと同じトッテナムで万能DFから正ボランチへと進化したエリック・ダイアーと、リバプールで伸び悩みを脱した感のあるジョーダン・ヘンダーソンらがいる。スロベニア戦で揃って先発したこの3名は、いずれもプレミアリーグの今季優勝候補で先発レギュラーとして頼られる主力だ。

 逆にルーニーは、マンチェスター・ユナイテッドでレギュラーの座を失った。ジョゼ・モウリーニョ新体制下での開幕1ヶ月強の間に、トップ下から2列目アウトサイド、そして中盤中央へと回された挙げ句、9月後半の時点でベンチに降格していた。

 最近のルーニーが気を吐いたと言えるのは、スロベニア戦前の会見ぐらい。既にベンチスタートが公になっていた会見には、暫定で指揮を執るガレス・サウスゲートが主将の欠席を認める気遣いを見せたが当人は敢えて出席。悔しさを堪えて報道陣の前に現れた気骨が、「ピッチ外では立派な勝者だ」とメディアに讃えられた。

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