オーストラリアも外国籍選手枠を撤廃
いわゆる金の卵たちが暮らす選手寮は「エリートシューレ」と呼ばれ、DFBから星の数でランク付けされて公表されるので、各クラブも投資を惜しむことができない。優秀な逸材を選手としてだけでなく、人間としても成長させる環境がおのずと生まれていくわけだ。
こうした循環が力強く脈打ち始めたと判断したこともあって、ブンデスリーガは10年前に「ドイツ人枠」を設けたのだろう。地元で育ってきたヒーローが6人もトップチームに名前を連ねることで、必然的に地域の人々の多くがスタジアムに足を運ぶようになる。結果として入場料収入も右肩上がりに増えていくので、再び投資に回せる原資が増える好循環が生まれる。
外国籍選手枠の拡大に対して、Jクラブの代表取締役らで構成される実行委員会内では「日本人選手を15人以上保有していれば、それ以外のすべての選手が外国籍選手でもいい」という叩き台がまず提示された。議論の結果として今回は外国籍選手の登録枠を『5』に拡大することが決まったが、村井チェアマンは「本日の決定が最終的なものではない」とこう続ける。
「仮にACLでこの枠が拡大・緩和されるような状況になれば、Jリーグもそれに準じて広げていく。方向性としては、2017シーズンは5人を登録枠としましたが、今後は世界の趨勢を見ながら拡大・緩和させていくことも議論していく」
アジアに目を移せば、オーストラリアのAリーグも外国籍選手枠を撤廃している。自国選手を12人以上登録すれば、その起用実績に応じてテレビ放映権料の分配金が増えるシステムが採用されていて、22歳以下の選手の出場時間は2倍としてカウントされるようになっている。
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