ブンデスリーガが設けている「ドイツ人枠」
ドイツのブンデスリーガは2006‐07シーズンから、クラブの外国籍選手枠を撤廃している。今シーズンを見てもFW原口元気(ヘルタ・ベルリン)、MF長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)、MF香川真司(ボルシア・ドルトムント)らの日本代表をはじめとして、数多くの日本人選手が所属している背景もここにある。
同時にブンデスリーガは「ドイツ人枠」を設けている。各クラブがドイツ国籍をもつ12人以上の選手と契約し、そのうち6人が地元で育成された選手でなければならないルールだ。いわゆる“逆転の発想”のもとで、ブンデスリーガにおけるドイツ人選手の比率は50%と、プレミアリーグにおけるイギリス人選手の34%、セリエAにおけるイタリア人選手の42%を大きく上回っている。
その結果としてドイツ代表はどうなったのかといえば、2014年のワールドカップ・ブラジル大会の結果を振り返れば一目瞭然だろう。6大会ぶり4度目のワールドカップを天に掲げ、南米大陸開催の大会で初めて優勝したヨーロッパの国として歴史を塗り替えた。
アルゼンチン代表との決勝戦で劇的な決勝ゴールを決めたMFマリオ・ゲッツェ(バイエルン・ミュンヘン)をはじめとして、MFメスト・エジル(アーセナル)、MFサミ・ケディラ(レアル・マドリー)らはいずれも「ドイツ人枠」のなかで頭角を現してきた選手たちだ。
一連の育成改革をさかのぼっていくと、白星を挙げることなくグループリーグ敗退を喫した2000年のヨーロッパ選手権にたどり着く。ワールドカップでも2大会連続でベスト8止まりだった現実に危機感を抱いた、ドイツサッカー協会(DFB)のフランツ・ベッケンバウアー副会長はこう警鐘を鳴らした。
「このままではドイツは世界のトップから取り残されてしまう。大きな改革を施さなければいけない」