“ミラクル・レスター”に生じた昨季からの変化
現状のレスターの2トップはヴァーディーとスリマニがレギュラーであることのは間違いない。さらにはムサとレオナルド・ウジョアというライバルも控えている。保守的な老将だけに、レギュラー2人と似たタイプでスピードが売りのムサと、高さのあるウジョアを優先的に起用する可能性は少なくない。
実際にそのような交代カードの切り方もしているし、ブルージュ戦後に岡崎をベンチから外した理由として、指揮官は「セットプレーで背の高い選手が欲しいから、ウジョアを選んだ。ウィンガーを交代したい、もしくはヴァーディーを代えたければ、ムサもいる」とコメントしている。
となれば、岡崎には不利な状況になるのは確実だ。しかし今季のチームの戦いぶりやサウサンプトン戦での起用法から判断すると、岡崎にはまだ十分望みが残っている。
今季のレスターが昨季のような強さを見せられていないのは、コレクティブなサッカーができていないのが最大の理由だ。しかし同時に、昨季は中盤で攻守の要を担ったエンゴロ・カンテがチームを去ったのも大きな要因でもある。ボールの出し入れに長けたカンテがいないためにパスの出どころが少なくなったが、それ以上に肝要なのは中盤に躍動感がなくなってしまったことだ。
また2人のストライカーとフラットに並ぶ中盤の4人の間を埋める選手がいないため、ぽっかりとスペースが空き、大きく間延びしている点も見逃せない。
さらに前線からのプレッシングが皆無でチーム全体のインテンシティーも低い。その結果、対戦相手は余裕をもって中盤でボールを回し、逆にレスターは後手に回った状態で自陣での守備を強いられる。すると、もともと個々の能力が高くない守備陣は、簡単に敵にチャンスを与えてしまうのである。
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