「日本化」のネックとなった被カウンターの弱さ
岡田武史監督の「日本化」は順調にみえた。遠藤保仁と中村俊輔を軸としたボールポゼッションで押し込み、ボールを失ったら素早い切り替えからハイプレッシャーをかける。日本選手のパスワーク、機動力、スタミナを生かしながら、コンタクトプレーの弱さという短所を前向きの守備で補う。次のアルベルト・ザッケローニ監督のチームにも受け継がれた戦い方だった。
ところが、ワールドカップイヤーの2010年になると突然失速してしまう。東アジア選手権での不振は、例年どおり年明けのコンディション不良と思われたが、その後も回復の気配をみせず、国内最後の強化試合だった韓国戦に完敗。この試合を最後に、岡田監督は守備重視へと大きく舵を切った。司令塔の中村を外して阿部勇樹を起用、フォーメーションも4-2-3-1から4-1-4-1へと変更した。
それまでの戦術の基盤はすでに失われていた。まず、ボールポゼッションが安定しなくなった。これは中心選手だった中村、遠藤のパフォーマンス低下が直接の要因と考えられる。とくに負傷の影響で中村のパフォーマンスが落ちていた。回復を待つ手もあったが、戦術を変えるならば強化試合でテストする必要があり、韓国戦以降は待てないと判断したのだろう。
しかし、むしろ最大の問題はカウンターアタックを受けたときの守備力だった。