センターバックとしての資質には疑いがない
バルサからは前半ピケ、ブスケッツ、イニエスタの3人、後半はイニエスタが抜けたため2人がプレーした。そういった憤りをクラブやフロレンティーノ・ペレス会長に向けるわけにはいかない。そこでその不満は宿敵に向けられる。バルサでプレーしており、私生活でもセレブとしても目立っているピケは、標的として最適だったというわけだ。
ジェラール・ピケは、人間的にはいろいろと問題を抱えているかもしれない。だが、トップチームの監督や選手などの話を聞いていても、一つだけ疑いのない事実がある。ピケのセンターバックとしての資質は、それを越えて余りあるものだということだ。
攻守の能力を兼ね備え、あれだけポジショニングが上手く、ピッチでリーダーシップがとれ、トップレベルでの経験が豊かで頼りになるセンターバックは、世界でも類い稀なのだ。
ピケを失う損失は大きい。サッカーと政治は無関係だ、代表として魅力あるサッカーを見せてくれればそれでいい、といった常套句がむなしく響く。そこまでの道のりは遠く、ここに至るまでの歴史は長い。サポーターと代表の間にある溝は、簡単には埋まらない。
(取材・文:山本美智子【バルセロナ】)
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