ピケは政治的発言を一切していない
この背景には、近年再び論争となっているカタルーニャ独立問題が背景にある。ちょうど1年前、ユーロ予選のスペイン?スロベニア戦が行なわれた時、代表でプレーするピケへのブーイングは最高潮に達していた。スペイン代表で固定スタメンのピケが、ボールに触る度にスタンドからブーイングが起きた。アウェイではない。スペイン国内のホーム、オビエドでだ。
カタルーニャ自治州の州都、バルセロナでは、2014年にスペインからの独立を州民に問うカタルーニャ独立住民投票が行なわれた。最終的に政府によって無効とされたこの投票だが、当日は230万人以上が票を投じ、8割が独立に賛成するという驚異的な結果が出た。
ジェラール・ピケは、ペップ・グアルディオラ等と同様に、独立賛成派だが、本人は自らが公の立場にあることを理解しており、地元への愛情を表現しても、独立を支持するとか賛成するといった政治的発言は一切していない。基本的に、歯に衣をかぶせぬ物言いはピケの特徴の一つだが、これは本人がスペイン代表への影響等も考慮して、かなり意識的に行動しているのだと思う。
だがそれでも、スペインは単一国家であるべきと考える人々――そして多くは、だからこそ、国旗を背負う代表サポーターでもある――には、許せないのだろう。
【次ページ】スペイン代表とレアル・マドリーのサポーター層