新生スペイン代表がスタートも、痛み出した古傷
ビセンテ・デル・ボスケ時代に終わりを告げ、フレン・ロペテギの新スペイン代表がスタートした。だが試合内容について語る前に、古傷が痛み出してしまった。一部のスペイン代表サポーターと代表の間にある溝は埋まらない。
フレン・ロペテギになって、スペイン代表がどう変化したかという話をする前に、ジェラール・ピケの長袖ユニフォーム騒動が起きたことは、このサイトでも報じられた通りだ。SNS上での事実に基づかない中傷を受けたピケは、試合後ミックスゾーンに姿をみせた。
「フレンと共に新代表でプレーすることに期待していたが、ロシアワールドカップを終えたら代表を引退するよ。途中でフレンを放り出すわけにもいかないしね。余りにも僕に(代表に)いて欲しくない人が多過ぎる。(今回の件は)今後、続けていきたいという意欲を僕に失わせるのに十分だった」
そう話したピケの表情は、淡々としたものだった。笑顔もなく、かといって、怒るわけでもなく、無表情というほど冷たくもなく、触っても熱くも冷たくもない。目の前にいたのは、ロッカールームでは、いつも明るい空気をもたらす冗談好きのピケではなかった。多くの記者に囲まれて立っていたのは、傷ついたことを最小限にしか表に出さず、責任は果たしたが世の中までは変えられないと、現状にあきらめを感じている一人の悲哀に満ちたプロだった。