両国のサポーターが気にしていたケーヒルの投入
前半が終わり、「もっとボールを動かせ。強引にプレーするのではなく、もっと正確なプレーを。追いつくことばかりを考えてスコアボードを気にするのではなく、自分たちのスタイルを気にしろ」との監督の檄を受けてピッチに戻ってきた豪州は、即座に軌道修正に成功。
後半7分、すぐに改善された攻撃が実を結ぶ。相手陣ゴール前でユリッチが原口のファールを誘い、PKを獲得。ホームの大観衆の期待(日本サポーターからは反対の思いだが)を背にした緊張の場面は、いつも冷静沈着の主将ジェディナクが確実に蹴り込んだ。
ここから息を吹き返した豪州は次第に試合の主導権を手繰り寄せていく。ハリルホジッチ監督は「相手にボールを回させることができた」と豪語したが、豪州はある時間帯では中盤での細かいパス回しをしながらチャンスを伺い、新生サッカルーズのほんの片鱗だけだがメルボルンの大観衆に披露することができた。さらには、体格差を生かしてのロングボールでの攻撃も交えるなど、大観衆の声援を背にじわりと日本ゴールに迫るシーンが見られるようになる。
この展開ならば、ケーヒル。日豪両国のほぼ満場のサポーターが、まったく別の観点から「ケーヒルはいつ投入されるのか」と気にしていたに違いない。
2トップの出来からしても、同点に追いついた直後にまずは2トップの一角との交代という手もあったが、理想としてはワントップで使いたいという気持ちもあったのか、ポスタコグルー監督が最初に切ったカードは、後半12分のロビー・クルーズだった。クルーズはウィンガータイプの選手だが、ジアノウに替わりそのままツートップの一角に入った。