拍子抜けの豪州代表。監督もゲームプランを後悔
いずれにしても、「戦術だ、フォーメーションだ」の以前に、豪州の出来そのものが拍子抜けだった。特に、前半。アンジ・ポスタコグルー監督が試合後の会見で盛んに口にした「無駄にしてしまった」の言を俟たずとも、そのパフォーマンスを見れば一目瞭然だ。
「(この失点で、)ゲーム早々から自分達のスタイルではなく、スコアボードを気にしてプレーするようになってしまった」と監督自身が悔やむ、ゲームプランを一瞬にて狂わす早い段階での失点。追いつかなければという焦りと、自分が思うように動けないコンディション面へのいら立ちだけが、前半の豪州のプレーには表れていた。
頼みのアーロン・ムーイも、パスミスを連発。彼の名誉のために言うが、彼はこんな選手ではない。昨夜の彼は間違いなく、代表キャリアワーストの出来だった。ムーイだけではない、トミ・ロギッチもマッシモ・ルオンゴも前線に有効なボールをまったくと言っていいほど配給できない。そうなると、2トップの両名は前線でただ苛立ち、天を仰ぐだけ。時間だけが無為に過ぎていった。
ムーイだけではなく、チーム全体の動きが悪く、プレーの精度にを欠くとなると、理由は明白。コンディション不良である。「ホームなのにアウェイ同様の日程」と地元メディアが嘆いた直前の灼熱のサウジアラビアからの時差、気候差を含む大移動は、予想以上の疲労の蓄積という形でサッカルーズを蝕んでいた。
豪州サイドは、サウジアラビアから戻って以来、「リカバリーは順調、コンディションも上がっている」とコメントし続けてきた。しかし、それはブラフだったのか、それとも本当にその影響を読み違えていたのだろうか。
そこを今更追及しても詮無きこと。実際問題、試合に臨んだ選手たちのコンディションは良くなかった。昨晩のパフォーマンスの悪さは、豪州が弱いのでは決してない。そのことは、ぜひ知っていてほしい。自戒の念を込めて、彼らのコメントやリラックスムードをして、「コンディション回復は万全の様子」と見立てた自らの不明をこの場で悔いておきたいと思う。