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日本代表 8年前

【西部の目】ハリルが仕込んだオーストラリア対策。4-4-2と4-3-3の可変システム。複雑な守備組織

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

危機をしのぎきるも、得点への布石は希薄

早い時間に先制点を奪った原口元気
早い時間に先制点を奪った原口元気【写真:Getty Images】

 ビルドアップ時にボールサイドのMF(ムーイまたはルオンゴ)が引き、SBが上がって、3枚回し+ジェディナク(アンカー)になる形に対して、日本は陣形を変化させながら抑え込んだ。2トップも無力化され、もともとヒラメキの乏しいオーストラリアは攻めあぐんでいた。誰か不規則に動く選手でもいれば違っていたかもしれないが、オーストラリアはあまりにも彼らの定石どおり。ハリルホジッチ監督に読み切られていた。

 日本の守備が危なくなったのは、後半25分を過ぎたあたりからだ。さすがに疲労が出てきてプレスが遅くなり、全体が下がってしまった。ラインが下がった日本に対して、オーストラリアは得意のハイクロスを仕掛ける。FK、CKも脅威になった。しかし、ロスタイムにはDFの丸山を左MFで起用するなど、何とかしのぎ切った。

 この点は、監督本人も試合後に言っていたとおり、フレッシュな選手を早めに入れたほうが良かったかもしれない。

 日本の攻め込みは少なかった。5分で先制できたので、相手にボールを持たせながらの戦いになっていた。複雑な守備組織を作るのに時間をとられて攻撃に手が回らなかった感もある。ただ、得点以外に2回の決定機を作れていて、カウンターはそれなりに鋭さがあった。浅野が登場してから、斜めのランで相手の裏を突破しかけた場面もあり、今後の武器になりそうだ。

 しかし、攻撃面は確かに物足りない。守備から攻撃の移行をスムーズに行う必要がある。そもそも守備の開始地点が常にハーフウェイラインからで、前からはめ込む守備がほとんどなく、これでは攻撃回数は多くならない。先制できたから良かったものの、そうでなかったら展開は違ったものになっていたかもしれない。

(取材・文:西部謙司【メルボルン】)

【了】

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