山口蛍【写真:Getty Images】
日本代表は9日、メルボルン市内で11日のロシアW杯アジア最終予選オーストラリア戦に向けた練習を行った。
先週のイラク戦で後半アディショナルタイムに劇的な決勝ゴールを挙げた山口蛍は「余韻にずっと浸っていても仕方ないと思うので、切り替えています」と冷静に語り、オーストラリア戦の持つ意味について「今後を大きく左右する試合になるのは間違いない」と力を込めた。
「勝ちと引き分けでも違うし、もちろん負けは絶対に許されない。まずなるべく失点を抑えるのが大事だと思いますし、この予選の失点は全部セットプレーからで、相手はそこに強みを持っているから、そこは一番気を付けたい」
現在グループBの4位につけている日本は、W杯出場に向けてひとつも落とすことが許されない状況にある。アウェイで首位のチームを叩くことができれば、今後に向けて弾みをつけられる。しかし、その相手は日本にとってアジア最大のライバルであり、苦手なスタイルの国だ。
「やっぱり高さもあるし、それだけじゃない。結構後ろからつないでくるイメージもビデオ見た中ではあった」と山口が語る通り、オーストラリアは従来の高さを生かした攻撃だけでなく、世代交代を経て中盤からパスを繋いでゲームを組み立てる力もつけてきた。非常に厄介な相手だ。
それでも「自分が出る試合ではどれも役割は変わらないし、相手によって自分のプレースタイルを変えるわけでもない。自分が持っているもの、持ち味の部分をどの試合でもしっかり出せるようにするっていうのが重要かなと思う」と山口にはブレがない。
イラク戦は途中出場で得点を挙げ、センセーショナルな展開を演出した。本来それほどゴールが多いタイプではない山口は、劇的な勝利の再現ではなく、選手個々がしっかりと持ち味を出した上での必然の勝利を追い求めている。
(取材:元川悦子【メルボルン】、文・構成:編集部)
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