突如集中力を失う韓国。逆転される最悪の展開
守備は比較的堅実なメンバーが揃う。ボランチに元神戸のチョン・ウヨン(重慶力帆)。彼の運動量や守備力は折り紙付き。4バックには左からホン・チョル(水原)、キム・ギヒ(上海申花)、ホン・ジョンホ(江蘇蘇寧)、チャン・ヒョンス(広州富力)が立った。チョン・ソンリョンが怪我で抜けたゴールマウスはキム・スンギュ(神戸)が守る。
予想通り、韓国は前線から強いプレッシャーを仕掛け、相手を封じ込める。それが実ったのが前半11分。左からパスワークで崩していったホン・チョルがソン・フンミンにパスを出すと、ソン・フンミンがペナルティボッスの外にいたキ・ソンヨンに軽く出す。これをキ・ソンヨンが正確なキックで決め、先制に成功した。
しかしその直後、帰化選手セバスティアン・ソリアを中心としたカタールの攻撃陣が躍動、さらに韓国のディフェンスがいきなり集中力を失う。9月の中国戦で先制した直後と同じ“カオス”状態に陥る。すると14分、ソリアの突破を止めていたホン・ジョンホがPKを許してしまう。これがゴールに突き刺さり、同点に戻された。
いきなり嫌なムードが流れ始めた。攻撃陣が絶えなくポジションをスイッチしながら仕掛けるも、カタールの守備も手強い。逆に韓国の守備は集中力が欠けたまま、相手の素早いアタッカーに裏のスペースを与える場面が急に増えた。
そして前半終了間際、危機が訪れる。相手FW3人が仕掛けるカウンターを韓国DF陣が全く対応せず。守備に弾かれたボールをソリアが軽く決め、逆転した。そして直後にホイッスルがなった。韓国には最悪に近い地獄のような展開だった。
先に動いたのは韓国。前半、ほぼ見せ場がなかったソク・ヒョンジュンに代わり、Kリーグで好調を貫いているキム・シヌクを投入。シュティーリケ監督は、足元の柔らかさを持ち味とするソク・ヒョンジュンよりキム・シヌクの空中戦がより力を発揮すると判断したのだろう。
実際、クロスでの攻撃が増加。明らかにキム・シヌクの頭を狙った攻撃が続く。すると、後半10分、いきなり試合が大きく動く。左からの高いクロスをキム・シヌクが見事に頭で合わせ、後ろで駆け込んでいたチ・ドンウォンに落とすと、大きく振り同点に成功。ビックバード(水原ワールドカップ競技場の愛称)が沸き上がる。