イタリア、選手交代で流れが激変。若き新戦力も躍動
翻って、ジャンピエロ・ベントゥーラ新監督を迎えたイタリアはどうだ。3-5-2というシステムはアントニオ・コンテ前監督時代と同じながら、試合運びの様子はかなり異なる。守備の場面ではただ引いてスペースを固めるだけで、中盤より前ではプレスでもカウンターでも動きに連動性がない。そこにMF陣を中心としたミスが重なり、折角守備でしのいでも相手ゴール前にボールを運べなかった。
イスラエル戦では思いっきり最終ラインを上げて積極的に後方から組み立てるサッカーを仕掛けていたが、この試合ではスペインをリスペクトしすぎたということなのか。失点から4分後、ベントゥーラ監督はポストプレーの要であるグラツィアーノ・ペッレを下げて、チーロ・インモービレを投入。
ペッレは不服を露わにし、手を差し伸べるベントゥーラを無視してベンチへと一直線。試合の流れから消えていたため交代は妥当とも言えたが、さりとてパスを繋げないイタリアがターゲットマンを失ってどうしようというのか、アイディアは見えなかった。
ところが、ここから試合の流れは劇的に変わった。イスラエル戦でも途中交代から点を取り、退場者を出して危ない展開を救ったインモービレは、縦への速い突破で次々とチャンスを作る。するとそれぞれが今ひとつ噛み合っていなかったチーム全体も、カウンターという方向で意思統一される。これまでCKすらろくに確保できなかったイタリアは、次々チャンスを作るようになった。
そして後半31分、ベントゥーラ監督が強気な手を打つと攻撃に拍車がかかる。インモービレとともにトリノ時代の教え子である、22歳のアンドレア・ベロッティを投入して3-4-3へ変更。爆発的なダッシュ力と得点感覚を武器とするベロッティは35分、エリア内を縦に切り込み中央へ折り返す。
これに反応したエデルをセルヒオ・ラモスが倒してしまい、イタリアはPKをゲット。これをダニエレ・デ・ロッシが決めて同点としたイタリアはこの後にも惜しいチャンスを作り、逆転してもおかしくないほどにスペインゴールへと迫った。