劇的ゴールをベンチで見守った本田、香川、岡崎
岡崎にしても「ふらふらっと1トップが下がっていったりすると、センターバックがついてきたりする。点を取りたいって気持ちとは裏腹にシュートも打てないかもしれないけど、まず第一にやるのはそういうプレーだと感じた」と自分のやるべき仕事に徹したが、シュートゼロという厳しい現実に直面した。香川至っては最後までお呼びがかからずじまい。彼ら3人は劇的勝ち越し劇をピッチの外から見守ることになった。それは非常に大きな出来事だったと言っていい。
イラクがリオデジャネイロ五輪世代中心のチームで日本を上回る個の強さを示してきた通り、アジアのライバルは着実に若い世代が伸びている。こうした国々に比べて近年の日本は停滞感が目立っていたが、ようやく世代交代への糸口が見えてきた。
ロンドン世代を軸に、浅野、大島僚太(川崎)らリオ世代も存在感を高めていけば、本田らベテラン勢にそこまで負担がかからなくて済む。そういう分厚い選手層を構築して初めて、日本はこの苦しい最終予選を突破し、ロシアの地に立つことができるのだ。
「監督の言っていることだけでサッカーは絶対に勝てない。それ以外のシチュエーションが起こるので、監督の指示以外のことがでてきた時の対応を選手各々がピッチの上で感じてやらないといけない」と本田はチーム全体に未熟な部分が多々あること指摘していたが、そういう自主性や判断力を原口や清武、山口らがもっと強く押し出せるようになれば、日本はもう一段階上のステップへ行けるはず。その可能性を5日後のオーストラリア戦(メルボルン)で示してほしい。
(取材・文:元川悦子)
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