「俺らの世代がもっと出てこなくちゃいけない」(山口)
後半に入ってイラクのリスタートで追いつかれ、1-1の状態で岡崎と本田が下がった終盤も、若い世代が躍動する。37分には右サイドバック・酒井宏樹(マルセイユ)のクロスに途中出場の山口蛍(C大阪)がヘッドで飛び込み、後半45分前後にはパワープレーから浅野拓磨(シュトゥットガルト)が2度の決定機を迎える。そして、後半アディショナルタイム4分台に入ったギリギリの局面で、清武のFKのこぼれ球を山口が目の覚めるような右足ボレーで蹴り込み、絶体絶命の窮地を救った。
「もうとりあえず思いっきりふかさずに振りぬこうと思って。あれ以上浮いてたらたぶん相手に当たってたと思うんで、しっかり抑えられてよかった」と本人は安堵感を吐露した。
その一方で「やっぱり自分たち(ロンドン世代)もやっていかなくちゃいけないなっていうのをそろそろ自覚しないといけない頃に入ってきている。コンスタントに出ている選手がそこまでいないんで、ますそこからのスタートだと思います」と世代交代への自覚を胸に秘めていたことを明かす。それは山口のみならず、ロンドン世代以下の若手に共通する意識だったに違いない。
アルベルト・ザッケローニ監督体制以降の日本は、本田、岡崎、香川の3枚看板が日本の攻撃をけん引してきた。2010~2015年の6年間は彼らの得点比率が7~8割を占めており、その流れは今年3月の2018年ロシアワールドカップアジア2次予選まで続いた。山口もハノーファーからセレッソ大阪に復帰した今夏、「ホントは俺らの世代がもっと出てこなくちゃいけないとは思うんですけどね、どうしても今の北京世代を崩せてない部分がある」とコメントしていたことがある。
ところが、頼みの3枚看板が今季欧州シーズン開幕後、揃って所属クラブで定位置を失った。序盤2ヶ月で3人全員がノーゴールというのは過去数年間にはなかったこと。本田は「そんなに心配はしてないんで。心配してないってのをしっかりピッチで出したいなとは思います」と悠然としていたが、この日のパフォーマンスを見る限りではやはり体が重く、キレが足りなかった。