危険なシーンが頻発。山口がピンチを未然に防いだ
右後方からのロングボールをFWアブドゥラヒームが手前に落とすと、ボールを拾ったヤシーンに長谷部が、続いて柏木がアプローチするが、うまくかわされコンビネーションから中央を突破されそうになった。ここは本田が柔軟にポジションを絞って相手の攻撃を寸断したが、非常に危険なシーンになりえた。
問題はさらにそこからで、本田がカットしたボールを原口元気がヘディングで前方にクリアし、それを岡崎慎司が受けて前に出ようとするが、相手ディフェンスにカットされて、すぐイラクのボールになってしまった。
そうした流れから日本にもチャンスが生まれる可能性があったのは確かだが、攻め急ぎになっていた。攻守の入れ替わりが激しい上に中盤で劣勢になるというのは非常に危険で、しかも厚みのある攻撃につながらない。ハリルホジッチ監督としては中盤に山口を入れることで、ボールの取り所を作りながら全体をコンパクトに押し上げる効果を期待したのだろう。
後半26分には右サイドの本田から清武へのパスがずれ、イラクに拾われた。ここで、カウンターの起点になろうとしたDFイスマエルに山口が素早くプレッシャーをかけたことで、無理に蹴ったロングボールがラインを割った。こういうシーンは山口が入るまでなかなか見られなかった。
そうした高い位置からのプレッシャーで相手の起点を封じ、あわよくばボールを奪う。意図が明確に表れたが、もう1つ大きな効果をもたらしたのがトップ下を担う清武のサポートだ。
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