追加点が欲しい段階では山口ではなく攻撃的選手の投入もあり得たが…
後半アディショナルタイム5分にフリーキックのセカンドボールから鮮やかなミドルシュートを決めて、日本に劇的な勝利をもたらした山口蛍。「思い切って振りぬこうと思って、それがゴールにつながったので良かった」と振り返るバースデーゴールは日本代表を救った。だが、柏木陽介に代わり、後半22分に投入されたボランチによるゴールは嬉しいハプニングだったとも言える。
もちろんチームとしては勝利の可能性を高めるために交替カードを切る訳だが、この時間帯にボランチの山口を投入した意図は何だったのだろうか。「もともと1-0で勝っている時間帯に入る予定だったので、それが監督の指示聞いている途中に同点ゴールが入ってしまった」と山口は語る。ただ、失点から実際の交代までは7分あった。
守備能力の高い山口を入れて逃げ切るプランであれば、1-1になった時点で交代を中止し、別の攻撃的な選手に切り替えるべきだろう。つまり、得点経過だけでない戦術的な理由があったということだ。
イラクは後半に入ると早い時間に運動量が豊富なボランチのカミルを投入。ロングボールを起点にセカンドボールを拾い、全体を押し上げてきた。それに対して日本もリズムを変えずオープンに攻撃を仕掛けたため、布陣が前後左右に間延びする状態になってしまった。
そうした中で、ボランチの長谷部誠と柏木陽介は何とか相手の起点を潰そうとするが、なかなかボールを奪えず、イラクに展開された。フリーキックから失点するきっかけになった酒井宏の自陣でのファウルも、中盤のサイドを強引に突破された直後だった。
象徴的なシーンが失点から間もなくのシーンにある。