ポジションを争うのは岡崎。実績あるFWとの競争
泣くくらいなら、倍にして取り返せ。そのためにも早く日本を飛び出して、海外でもまれろ。一聴すると冷たく聞こえた本田の檄に込められたメッセージを、実際にヨーロッパ組の一員となり、時差や長距離移動を乗り越えて代表に合流するようになった浅野はあらためて噛みしめているはずだ。
「前回の集まりで(UAE代表に)負けてしまいましたけど、そのなかでもいい攻撃もあったし、試合の進め方も悪くはなかったけれども、フィニッシュの部分の精度をもっともっと上げていかなきゃいけないのがチーム全体の課題であり、僕自身の課題でもある。そこは監督からも常に高い意識を求められているところなので、僕も常に一本一本に集中してやっていきたい。
フィニッシュの精度を上げるには本当に反復練習が大事だと思うし、それが練習のための練習ではなく、どれだけ実戦をイメージしてやれるかどうかが重要になる。トレーニングではできているのに、ピッチに立てば余裕がなくなり、慌ててしまうことが選手のなかでは多々あることで、そこを改善できれば。練習のなかから常にそういう意識でやっていくしいかないと思う」
クラブチームも代表チームも関係なく、成長していくためには世代交代を糧に新陳代謝が図られることが一番の近道になる。ベテランはポジションを譲ってなるものかと目の色を変え、若手は失うものは何もないとばかりにもてる力のすべてを出しきろうとする。
いま現在のハリルジャパンの最前線にあてはめれば、国際Aマッチ通算49ゴールと史上3人目の大台到達に王手をかけている30歳の岡崎に、タイ代表戦で2ゴール目をあげた21歳の浅野が真正面から挑戦状を叩きつけている状況だ。
「僕もスタメンから試合に出なきゃいけないと強く思っていますけど、岡崎さんのような最高の見本が目の前にいるので、まずはあの人のいい部分というのをしっかりと見て、盗みながら自分のものにしていけたら僕自身、もっともっと成長していけると思う。もちろん、それだけじゃなくて、僕のいいところを忘れたらいけないと思うので、それを100パーセント生かしながらも、いいところをどんどん盗んでいって、いずれはポジションを奪う選手にならないといけない」