純然たるドリブラー、齋藤学
ただ、そうした“弱点”があるといっても前半はイラクの守備位置も基本的に高くなり、ドリブルに対して瞬間的に後手を踏んでも、ゴール前でリカバリーされやすい。
効果が大きくなるのがイラクの守備が全体的に下がり、多少なりとも対応力が落ちる後半からだとすれば、そこで純然たるドリブラーのオプションを活用しない手はない。すなわち追加招集の齋藤学だ。
ボールを持って前を向けば、回転力のある足の運びに吸い付く様なボールタッチを絡め、1対1すらまともに許さず危険な場所に切り込んでいく。フィニッシュの精度や落ち着きが課題とされてきたが、手倉森誠コーチが視察に訪れた直前のヴァンフォーレ甲府戦で先制点と追加点の2ゴールを決め、得点力をアピールした。
最終的には誰が得点しても勝利を飾れれば良いわけだが、小林や齋藤がチャンスに結果を残せれば、彼らが“救世主”として代表での存在価値を高めることはもちろん、ハリルホジッチ監督のJリーグに対する評価にも変化が起こる可能性はある。
「(国内組の自分が)日本代表で海外の相手と試合して点を取ることで、日本のサッカーが盛り上がると思いますし、そういう責任が自分にはある」と小林が語るように、彼らの武器を大いに発揮し、イラクの“弱点”を突いていくことを期待する。そのためにも代表指揮官には勝利のためにより効果的な選手起用を求めたい。
(取材・文:河治良幸)