“ウィンガー・ストライカー”小林悠
また通常は横の間隔を狭くしているが、やはりある局面でプレッシャーをかける時にガバッと音を立てる様に開く時がある。そうした“性質”が分かっていれば、全体的にコンパクトなディフェンスの中でも十分に付け入る隙があるはずだ。
そうしたイラクの“弱点”を突く最も有効なオプションとして考えられるアタッカーが小林悠だ。ここまでチームメートの大久保嘉人と並ぶ日本人トップのリーグ15得点を記録。非凡な得点能力を今年のJリーグでも証明している。
川崎フロンターレでは2トップの一角を本職とするが、ハリルホジッチ監督は基本的に[4-2-3-1]の右サイドハーフで考えている。
そのポジションの主力を担う本田圭佑はワイドな位置でチャンスの起点を作る時と、ゴール前でフィニッシュに絡む時でポジショニングが大きく変わるタイプの選手。一方の小林はサイドから流れに応じて一瞬でゴールに向かうプレーができる、言わば“ウィンガー・ストライカー”だ。
今回は本田が2日前に合流した事情もあり、小林を先発させやすい状況だが、戦術面でも効果的だ。
その小林にイラクのディフェンスに関して聞くと「そこ(サイドバックとセンターバックの間)は一番の狙い目でもありますし、そういう相手によって嫌なところ、危険なところに飛び込んでいけるのが自分の特徴でもあると思う」と語り、ゴールへの意欲と自信をのぞかせている。
もちろん、時に縦の裏を取ろうとしたり、中に流れる動きなどを見せることで、相手ディフェンスの目を揺さぶるなど、駆け引きをしながらタイミング良く“一番の狙い目”を突いていくはず。
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