不安を見せた香川。本田はあくまで強気
「自信のベースはそこ(実績と経験)ですよね。でも、大事なのはやっぱり日々のトレーニング。トレーニングが絶対的に自信を与えてくれるんで。僕はミランに行ってから、監督が代わるたびにちょこちょこ出られない時期があった。そのたびに代表にも合流していたし、対応の仕方はうまくなっているのはあるんで、それも全然不安になってない1つの要因かな」と本田は淡々と言う。
心身両面のスイッチの切り替えのうまさは、香川との大きな違いかもしれない。香川自身は「僕もこんなに試合をやってないのは初めてなんで。そういう意味では何とも言えないですけど、だからしっかりといいトレーニングして、試合でやるだけだと思っているんで、あんまりそこは考えないようにしています」と不安を垣間見せていたが、本田は戦いの場に合わせてスムーズに自分を変えられる柔軟性と適応力がある。それが代表での好結果に表れている。
こうした前向きな部分に加え、ケタ外れのメンタルの強さを備えた選手だけに、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が彼の抜擢に踏み切る可能性はゼロではない。実際、他の右サイドアタッカー候補者は小林悠(川崎)、齋藤学(横浜)といずれもジョーカータイプ。
原口元気(ヘルタ)を右に回すことも可能だが、9月のタイ戦(バンコク)の流れを踏襲するなら、彼は左から動かせない。ザック時代の定番である岡崎の右サイド起用は現体制ではほぼやったことがない。となると、日本の命運を大きく左右する右サイドを託されるのは、やはり本田圭佑ではないか。
「イラク戦に向けては細かいことは言えないけど、しっかり相手を分析しながら自分たちのよさを出す、そのイメージはいくつか形として頭の中にはある。それをしっかり出して、とにかく勝ちたいですね」と最終予選ホーム初勝利を誓った本田。今こそ背番号4をつける男の底力が問われる。
(取材・文:元川悦子)
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