ポゼッション&プレッシングのスタイル
4-2-3-1のトップ下には玉田圭司や大久保嘉人など、プレーメーカーというよりセカンドトップのタイプ。中村憲剛も起用されたが、縦の2トップという感じである。岡田流は各選手の特徴の組み合わせによるパッチワークに近いが、オシム流や大木流に比べるとオーソドックスといっていい。
慌てずにしっかりボールを確保し、遠藤・中村ルートで攻撃を作る、奪われたら直ちに前線から素早くプレッシャーをかける。ポゼッション&プレッシングの戦い方は、ザッケローニ時代にも引き継がれ、日本らしいプレースタイルとして定着した。その点で「日本化」は成されていたといえるかもしれない。無理のない形での日本化である。
アジア予選を突破した日本は、日本化の真価を南アフリカワールドカップで問うはずだった。しかし、実際にはそうはならなかった。ワールドカップイヤーの2010年に入ると、それまで表面化していなかった弱点が露呈し、方向転換を余儀なくされたからだ。
(文:西部謙司)
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