川島に何が求められているのか?
そんな川島が率先してやらなければならないのは、イラク戦でチームが結束し、全員が闘争心を持って戦える環境を作ること。それが最優先課題と言える。自分が離れていた9月のUAE&タイ2連戦は、結果も芳しくなかったうえ、選手たちが持てる力の全てを出し切れていなかったと彼は捉えている。だからこそ、1人ひとりが持ち味を出せるように、自分なりのやり方で仕向けていくつもりだ。
「正直、(UAE戦の)結果を見た時にはショックでした。呼ばれてない時の自分は日本人として日本代表チームを応援しているし、自分が経験している分、最終予選の意味や選手の痛み、背負うものの大きさも分かる。いろんな意味でショックはありました。
今、大切なのはチーム全体、1人ひとりがホント自信を持って戦うこと。1人ひとりが輝きを取り戻していくことが一番だと思うんで、もう一度、この2試合に向けてチーム全体がイキイキプレーできるように押し上げていきたいと思います」と彼は語気を強めた。
「彼がいるとピリッとする部分はあります」と長谷部も太鼓判を押していたが、誰かが集中力を欠いたり、献身的姿勢を失ったりした時、鼓舞できる存在は、やはり自信を失いかけている今の代表に必要だ。
川島が6年前の川口のようにチームの要として堂々とした立ち居振る舞いを見せることが、崖っぷちに瀕した日本代表の再生につながる。ハリルホジッチ監督もそこを期待している。遠慮など一切せず、周りを叱りつけるくらいの大胆な行動で、チームを劇的に変化させるという極めて重大な役割を、川島は担っている。
(取材・文:元川悦子)
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