「気持ちの勝負」以前にやるべきこと
また、櫻内のミスがPKに結びついてしまったわけだが、パスを繋ごうとした選択自体は間違いではない。磐田はジェイが早々に痛め、動きが少なくなったことで放り込みが増えることになった。次第に陣形は間延びし、前と後ろが分断した。それもあって「厚みのある攻撃がなかなかできなかった」とキャプテンの上田康太は言う。そして、こう続ける。
「すべてロングボールだとどうしても時間が作れない。自分たちでゆっくりボールを回さなければいけない時間帯も絶対にある。ロングボールだけになっては、いい結果は出せないのかなと」
名波監督が「ロングボールが戦術になってしまったのは残念だったが、相手はそれを怖がっていた」と話したように、ターゲットのジェイをシンプルに使うのは確かに有効だ。そして、上田の言葉にも頷ける。不用意なボールロストはチーム全体の大きな課題だが、スペースを限定してのパスゲームなど速い判断と精度が求められる練習は普段から繰り返し行っている。
残り3試合で劇的に戦術が上積みされたり、選手の技術が飛躍的に向上することはないだろう。選手たちはこれまで以上に試合を意識しながら練習に取り組み、監督・コーチ陣は試合で何をすべきか、という点をイレブンに授けなければならない。
状況に応じた最善のプレーをすべきなのはもちろん、少なくとも想定しうる最悪のプレーを減らしたい。『最後は気持ちの勝負』なのかもしれないが、試合で100%の力を発揮できるよう、名古屋グランパス戦までの約3週間を意義のある期間としなければならない。
(取材・文:青木務)
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