本田が疑問視するイタリアサッカーの在り方
それだけに腹も立ったのだろう。ロカテッリと交代して下げられた主将のリッカルド・モントリーボにブーイングが浴びせられたシーンには、ファンの姿勢に疑問を覚えそれを隠さずに言った。
イタリア、というよりミラノの観客(ミラニスタにもインテリスタにも共通する)は結果を厳しく要求しており、不甲斐ないプレーをした場合には躊躇なく味方にブーイングを浴びせる。今回の場合、サポーターからあまり人気のないモントリーボが交代ということになり、余計に憎悪のブーイングが増幅された感がある。
そういうファンの厳しい目があるからこそ、守備が堅く結果を奪い取ることにしたたかな面を見せるイタリアサッカーが育った面があるのは確かだ。ただ、勝利に飢えすぎたミラノのサッカーファンは、長い目で見るということができず、すぐ選手にブーイングを浴びせる。
その結果選手は萎縮し、ミスも多くなるという悪循環が起こる。そんな環境の中、萎縮した末に精神的な安定度を欠いた選手は複数おり、それがミラン、インテル両方に共通する不振の原因の一部となっている面がある。
そんなシーンを散々見せられてきた本田は、ファンの応援のあり方についてこれまでも疑問を隠さなかった。それは、今回も然りだった。果たして「文化を変える」という大きな話が、どのようすれば実現可能と考えているのだろうか。
(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)
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