少ない準備期間。ハリルJが抱える“事情”
ただ、選手のフィジカルコンディションが低いまま出場すれば、欧州組であろうとこうした数字は下がるだろうし、パフォーマンスが低下するはず。そう考えると準備期間が少なく、チームとして再構成する余裕が無いことが大きな理由ではないか。
前回の合宿ではUAE戦から2日前の火曜日に45分間の戦術練習で9つのテーマを行ったというが、本来は10日かかるものだと指揮官は主張する。しかもそれは代表の経験者がほとんどを占めるメンバーを相手にしたものであり、そうでなければ1から教えなければならないのだ。しかも、短い期間でセットプレーの練習は、2試合目のタイ戦に向けてすらほとんどできていなかった様だ。
最終予選に入ってしまうとメンバー固定になりがちな傾向は、ブラジルW杯を目指していた時も同じだった。やはり短い準備期間で2試合ずつ消化して行く事情にあって、フレッシュな選手の起用は限定的になってしまう。今回はMFの国内組の永木亮太(鹿島アントラーズ)が初めて正式に選ばれたが、DFとFWは全く変わらないメンバーとなっている。それは欧州組を含め、新しい選手と入れ替えにくい事情がメンバー選考に働いているのだろう。
だが実際に2試合を想定すれば、出場するメンバーの選択肢を広げておくメリットは大きい。フィールドプレーヤー23人の中から、イラクとオーストラリアに対して最も高いパフォーマンスが見込める先発メンバーをチョイスしていく。その時に誰が出ても戦術面のスタンダードが下がらないようにしたい。そうした意図が、欧州組から誰も外さずに26人とした実情から読み取れるのだ。
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