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アラダイス退任に見る監督人事の“深い闇”。おとり取材で暴かれた“愚行”とFAの過失【現地記者解説】

text by 山中忍 photo by Getty Images

大穴候補のヴェンゲルと国産有望株のハウ。次期代表監督は?

ハウ ヴェンゲル
エディ・ハウ監督とアーセン・ヴェンゲル監督【写真:Getty Images】

 しかしながら、サウスゲイト自身は代表ではなくクラブでの監督職を狙っていると理解されている。残る噂の新監督候補は、スティーブ・ブルース(前ハル)、アラン・パーデュー(クリスタルパレス)、エディ・ハウ(ボーンマス)、グレン・ホドル(解説者)、ガリー・ネビル(解説者)、ユルゲン・クリンスマン(アメリカ代表)という顔ぶれだ。

 大穴は、年内の就任はあり得ないアーセン・ヴェンゲル。ホジソンの後任としてFAの第一希望だったアーセナル指揮官は、今季末まで暫定体制で凌げばクラブとの現契約が満了となる。外国人だが本人は可能性を否定しておらず、プレミア監督歴20年のフランス人は下手な国産監督よりもイングランド・サッカー界を良く理解している。

 パスサッカー志向でスキャンダル知らずと、ピッチの内外で「品行方正」なヴェンゲルは、国産の後進指導者育成に関してもFAにとっては頼れる存在となり得る。

 さもなくば、やはり今夏にアプローチが検討されたエディ・ハウはどうか? ヴェンゲルより28歳若い38歳でプレミア歴もまだ2年目だが、若返っているチームを長期展望で託す価値のある国産有望株だ。

 愛国心旺盛な当人も今夏の時点で興味を認めている。ボーンマスにとっては痛手だが、代表に監督を送り出したという誇りがファンの心の痛みを和らげる。筆者にも、96年にホドルを代表に奪われたチェルシーファンとして経験がある。

 ヴェンゲルとハウは両極端な後任ソリューションだが、代表復興が遅々として進まないイングランドだけに、今回の「一大事」を大胆な策に打って出る「一大転機」として利用しない手はない。

 何より、今度こそこれ以下はないと思われる精神的ドン底に落ちたチームとファンには、生半可な後任人事では本格的な立ち直り開始は難しいのではないだろうか?

(取材・文:山中忍【ロンドン】)

【了】

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