日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:編集部】
日本サッカー協会(JFA)は29日、10月に行われるワールドカップアジア最終予選のイラク戦、オーストラリア戦に臨む日本代表メンバーを発表した。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は会見の中で、Jリーグについて「欧州と全く違いすぎる」と辛口な評価を口にしている。
26名の代表メンバーを発表したハリルホジッチ監督は、その中に欧州のクラブに所属する”海外組”を15名含めた。だが、今季は欧州でプレーする日本人選手が軒並み苦戦しており、15名の中で安定した出場機会を得ることができていると言えるのは酒井宏樹(マルセイユ)、酒井高徳(ハンブルガーSV)、原口元気(ヘルタ・ベルリン)、浅野拓磨(シュトゥットガルト)くらいだ。
それでも指揮官はクラブで出場機会のない選手を落選させるどころか、リーグアン・メスの”2軍”でプレーするGK川島永嗣を復帰させるなど、海外組重視の傾向をむしろ強めているほどだ。代役となる選手を国内から招集しなかった理由について、ハリルホジッチ監督はJリーグのレベルに満足していないことを率直に述べた。
「残念ながら、まだ海外のフットボールとは歴然とした差がある。特にフィジカル面だ」「日本のサッカーと欧州のサッカーは違いすぎる。全く違いすぎる」とハリルホジッチ監督は語る。海外の強豪クラブに所属する選手たちは、練習の中でも激しい競争の中に身を置いており、たとえ試合に出場していなくとも彼らの代わりに招集すべき選手はいないとの見解を示した。
「足下の技術がある」「少しスピードがある」のは日本サッカーの長所だとしながらも、戦う姿勢や”デュエル”、戦術面では世界のトップと大きな開きがあると主張。「Jリーグを世界一だと言ったとすれば、サッカーを知らないのかと言われる」と厳しい言葉を発した。
だが問題点を挙げるのは単なる批判ではなく、あくまでも日本サッカーの発展を後押しするための提言だとハリルホジッチ監督は主張する。「隅っこで何も言わないでいるのは簡単なことだが、私は日本のサッカーを発展させるためにここに来た。サッカーは伸ばすことができる」と話す監督に対し、会見に同席したJFAの田嶋幸三会長も、世界の舞台を経験してきた指揮官からの前向きなアドバイスとして受け止めていると述べた。
ハリルホジッチ監督が国内の選手を全く評価していないわけではない。昨年の候補合宿以来の招集となった鹿島アントラーズのMF永木亮太には「良い存在感を見せている。オーストラリア戦で必要になるかもしれない」と期待を述べ、今回招集したメンバー以外にも中島翔哉(FC東京)や井手口陽介、長沢駿(ともにガンバ大阪)などをチェックし、高く評価していると話していた。国内からさらに多くの選手が頭角を現し、ハリル監督の選手選考を悩ませることが期待されるところだ。
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