有力フランス人が出場しないことへの懸念
ベン・アルファの移籍発表はエメリが着任した後のことだ。よって彼の獲得には、新監督の意見も反映されていると思うのが普通だ。しかし彼は、バスティア戦前の会見でこう話している。
「正直、彼のベストポジションを計り兼ねている。チーム全体のバランスや、彼のフィジカルコンディションを考えると、今はセンターフォワードで使うのが一番の解決策だと思う。彼にはもっとディフェンスやプレスでも貢献してもらいたいんだが……」
この「ベストの起用法がわからない」という発言に、指揮官自らが欲して獲得した戦力ではないのはないか、という疑念が噴出した。
フランスメディアは「ベン・アルファを獲得したのはアル・ケライフィ会長」と報じ、CLのアーセナル戦で彼の名前がチームシートになかった時には会長がエメリ監督に激怒した、というニュースも流れた。
激怒うんぬんの信ぴょう性は定かではないが、会長がベン・アルファを獲得した心理は推測できる。
今夏、ロラン・ブランを解任したことで、PSGはフランスのクラブたる絶大なシンボルを失った。主力はほとんどが外国人選手というチームにあって、98年W杯勝者のブラン監督が指揮官であることは、PSGがフランスを代表するクラブである証でもあった。しかし彼がクラブを去り、さらに夏のメルカートではフランス代表のマテュイディにもユベントス移籍の噂が持ち上がった。もし実現すれば、ピッチ上に一人もフランス人の有力選手が並ばないという事態も起こりうる。
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