香川ベンチ外は純粋に序列の問題
トゥヘルの勇気が結実したのは87分。プリシッチが右サイドをドリブルで突破する。クロスを入れると、オーバメヤンがエリア内中央で潰れて流れたボールを、ワントラップからシュールレが左足で打ち込んだ。2-2。
香川がベンチ外となった理由は、この辺りにあるのかもしれない。シュールレが戦列に復帰してベンチ入りし、プリシッチやモルといった終盤に勝負をかけることのできるジョーカータイプを取り揃えるためだ。
しかしレアル戦では、現時点でトゥヘルはインサイドハーフのポジションをカストロ、ゲレイロ、ゲッツェの3人で考えているということがはっきりとした。昨季の後半戦のバイエルン戦で香川は、戦術的な理由でベンチ外となったが、今回は純粋に序列の問題と言えそうだ。ここから巻き返してベンチ入りして、試合に出場するために、香川としては再び練習からアピールする必要があるだろう。
試合は2-2のドローに終わった。そしてドルトムントは、決して“勢い”ではない“実力”を示した。レアルは本調子ではなかったかもしれないが、昨季CL王者を相手に、2度追いついて負けなかったことは、紛れもない自信に繋がったはずだ。
シュールレは言う。
「グループで最も強いライバルから勝ち点1を掴んだ。僕らは満足することができる」
しかし勇気と実力を証明しつつ、トゥヘルは満足してはいないようだ。
「我々はまだ良くすることができる」
ドルトムントは、本物の勢いに乗りつつある。
(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)
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