試合日程は休みを与えず。我慢を求めるのは贅沢
ナスリは昨季までのバネガの役割をこなそうと努め、チームを操りプレーを動かしていた。その能力に疑いの余地はない。マンチェスター・シティからのレンタルでやって来た選手が力を発揮したおかげで、セビージャは少し何かを見せられるようになってきた。ビルバオでの試合で明確な意識を持っていた唯一の選手であり、後半立ち上がりに生まれた同点ゴールの立役者だった。自らプレーを生み出し、最後は高い打点からのボレーを叩き込んだ。
セビージャファンはアドゥリスの退場やイボーラへのPKを要求していたが、エルナンデス・エルナンデス主審は障害のひとつでしかなかった。本物の敵は、同点後にトーンダウンしてしまったセビージャ自身だった。
バレンシアガはセビージャのミスの連続を逃さず、ゴールががら空きになった隙を突いてリーガでの初ゴールを記録。ポジショニングも、説得力も、積極性も、セビージャは何もかもどこかに置き忘れてしまっていた。ビトーロ、フランコ・バスケス、ビエットが投入されたが、結局はナスリの閃きが全てであり、誰もそれに付いてきてはいなかった。あとは、とにかくシリグだった。
イタリア人GKは、ビルバオの2点目の場面でポジショニングを誤ったのに続いて、愚かな退場劇で反撃の望みを完全に潰してしまった。何の意味もない肘打ちをアドゥリスに食らわせる姿に、セビージャファンは何を思っただろうか。退場とPKは当然だった。イボーラがゴールを守ったが、アドゥリスがセビージャに最後のとどめを刺した。
サンパオリについては、彼のプレー哲学を浸透させるために時間が必要だとも言われる。だが試合日程は休みを与えてはくれないし、この時期に我慢を求めるのは贅沢すぎることだ。プレーの最後を締めくくるファイナルサードでの精度が欠けていると監督は言うが、足りないものはそれだけではない。