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「正しいステップなら、3歩以内で止められる」。守護神大国ドイツのユーロGK分析

text by 中野吉之伴 photo by Getty Images

「すべてのシュートを3歩以内で止められる」所作

2.重心移動

 こんなGKのプレーを目にしたことはないだろうか。左右に素早く振られたボールについていけず、踏み込んだ足の逆を突かれたシュートがゴールに吸い込まれてゆくのをなすすべもなく見守る。動きの逆を取られてしまってはどうしようもないのだろうか。いや、これはステップの踏み方、体の動かし方という技術的な問題としてとらえるべき項目なのだ。

 取り上げられたシーンはウクライナ戦で見せたノイアーのセーブ。右サイドからのグラウンダーの折り返しを走りこんだコノプリャンカが強烈な右足ダイレクトシュートを放ったが、左ポスト際からセンターに数歩移動していたノイアーが、逆を取られかねないこのシュートにいとも軽やかに反応してみせた。

 ここで注目すべき点はノイアーの重心移動の仕方だ。ロイは「簡単そうに見えるがこれは本当に素晴らしい動きなんです」と壇上でデモンストレーションしながら一つ一つの動きを解析していく。

「サイドステップを踏みながらも重心が全くぶれていない。どのタイミングからでも、どちらにでも動けるように動きながら準備がされている。だから逆を突かれて反応できず、ということが極めて少ないんです」

 そういえばと思い出した言葉があった。

「GKは正しいステップができれば、すべてのシュートを3歩以内で止められる」

 これは筆者がB級ライセンス講習会を受講したときに、ダニエルからいわれた言葉。実戦練習ではGK歴ゼロの参加者が、最初のポジショニングと最初の一歩からスムーズに正しいステップを踏むトレーニングを30分ほどしただけで、ポスト際のシュートにもしっかりとしたセーブを見せるようになった。慌てて足を踏みなおすとボールへの反応も対応も難しくなる。こうした基本的な動作を小さい時から積み重ねているかが、将来大きな差となってしまうのではないだろうか。

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