タフな環境で鍛えられた選手たち。世界で躍進する可能性も十分に
こうした戦う姿勢というのは、森山監督が今の若い世代に一番、伝えたいところだったに違いない。彼がまだサンフレッチェ広島ユースを指揮していた2012年秋、教え子の野津田岳人(新潟)が参戦したAFC・U-19選手権(UAE)で日本が準々決勝でイラクにアッサリと破れ、世界切符を逃したことがあった。
その時も「チーム全体から闘争心が見えてこなかった」という指摘に謙虚に耳を傾けたうえで、「個が自立し、なおかつ団結でき、高いレベルで闘うことができる、そんな選手を育てるため日々頑張っていきます」と強い決意を述べていた。
立場がクラブのいち指導者から代表監督に変わっても、彼のスタンスは終始一貫していた。その森山イズムを瀬古・菅原筆頭に多くの面々が力強く示し、1-0という結果をもぎ取ってくれたことは、非常に大きな成果に他ならない。
チーム発足時からインドネシアやウズベキスタン、インドといった日本とはかけ離れた環境へ何度も出向き、タフさを養ってきた選手たちは肝心なところで強かった。W杯出場までの4試合を無失点で終えたことは、特筆すべき点だ。そのたくましさを失わなければ、10年ぶりのアジア制覇、来年の世界大会での躍進も夢ではない。
そのためにも、守備リーダーの瀬古と菅原には、無失点継続の担い手として、大いに奮闘し続けてほしいものだ。
(取材・文:元川悦子【ゴア】)
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