指揮官は清武への関心を失っていない
この夏にセビージャが清武弘嗣を補強したことには、驚いた者も多かったかもしれない。獲得が要請されたのはホルヘ・サンパオリ監督がやって来る前だったが、モンチSDの気まぐれだったわけではない。退任直前のエメリ前監督が後押しした補強だったとはいえ、彼の獲得はマーケティング目的の賭けではなく、サッカーの上での賭けだった。
ハノーファーからセビージャへやって来た清武の冒険は順調な船出とはならず、練習3日目での負傷によりプレシーズンの最初の数週間を失うことを強いられた。それでもサンパオリは、彼が非常に興味深い何かを提供できる選手だと分かっている。”サッカーのできる選手”だ。
スペイン・スーパーカップのバルサ戦で上々のプレーを見せ、リーガ開幕戦のエスパニョール戦でサポーターの信頼を得ることができた。監督も試合後の会見で日本代表MFが「信じられないような試合」をしたと認め、リーガは彼を開幕節のベストイレブンに選出した。
チャンピオンズリーグ(CL)のユーベ戦とベティスとのダービーマッチという、セビージャにとってこのシーズン序盤戦で特に重要な2試合を欠場したが、サンパオリが彼への関心を失ったわけではない。様々な周辺事情によるものだ。
CLでは、対戦相手の要求する試合のタイプにより外れることになった。中盤でのフィジカル重視のぶつかり合いだ。セビージャはその戦いで貴重な勝ち点1をもぎ取ることができた。
ベティス戦では、多くのサポーターが清武をピッチ上で見たいと要求していた。“ムド”・バスケスは、能力に疑いの余地はないとはいえ、コンディションやスピードは清武に分がある。結局監督はサラビアを投入したが、これまでの試合のように采配的中とはならなかった。ラス・パルマス戦の清武の欠場は、代表戦の長旅後の疲労によるものだった。