予想外のライバル登場に香川は何を思う?
さらに布陣変更は続く。左SHにゲレイロが、右SHにデンベレが入った。[4-1-4-1]の形を取る。安定を取り戻したドルトムントは、62分にカストロの折り返しをオーバメヤンが決める。4-1。73分にはCKからピシュチェクがヘッドでダメ押し弾。ヴォルフスブルクを5-1と寄せ付けなかった。そして試合の終盤には、再び左右非対称形の布陣を取っている。
そして、ヴォルフスブルク戦で香川がベンチに座り、ゲレイロが先発した理由は、この度重なる“布陣変更”にありそうだ。
試合後に香川は、ゲレイロについて「左サイド全般のポジションができることを証明しつつある」と述べた。
昨季の後半戦では[3バック+2シャドー]を採用し、前節のダルムシュタット戦では[3-2-4-1]を試したように、ドルトムントの監督トゥヘルは“戦術マニア”とでも呼ぶべき側面を持っている。
今回のヴォルフスブルク戦では、前半を[4-1-4-1]で始め、後半は左右非対称の[4-4-2]を試した。そこで重要になるのが、インサイドハーフを務めることもできて、左右非対称の布陣で左サイドにポジションを取り、DFラインに入りながら上下に動くことのできる、ゲレイロということになる。要するにゲレイロは、複数のポジションをこなすことができるのだ。
もちろん香川もトップ下とインサイドハーフなど複数のポジションを務めることはできるが、ゲレイロのように、サイドで上下に動きながら、DFラインにも入って守備をするのは難しいだろう。ゲレイロの本職はSBなので、そういった動きが可能となる。
ヴォルフスブルク戦でゴールも決めたように、ゲレイロは目に見える結果も残している。試合後に香川は、ゲレイロについて次のように語った。
「やはりいい選手ですし、結果を残している。現状では俺自身をすごく使いづらい状況ではあると思う」
ゲレイロは監督トゥヘルの下で、インサイドハーフとしての境地も開きつつある。まだ今季も始まったばかりだが、ドルトムントのちょっとしたサプライズと言えそうだ。
意外なライバルの台頭によって、香川にとっては、しばらく耐える時間が続くことになるかもしなれない。
(取材・文:本田千尋【ヴォルフスブルク】)
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