データが生み出す新たなコミュニケーション
「ブラジル代表を見ると、ファスト・テンポの項目に重きを置いていないことが分かりますよね。こういった具合に、“ありふれたデータ”が記載された30枚のレポートと同じ情報量で、ここまで出来るんです。このレーダーを作成しているのは、今、プロゾーンだけです」
EUROの大会期間中には、顧客からの要望があれば「プレーイングスタイル」のレーダーを提供した。試合が終わって翌日の午後までに、対戦相手との比較や大会平均との比較などに加えて、“まとめのビデオ”を追加した。
「もちろん『プレーイングスタイル』は必要ないです、という顧客の方々もいます。必要とされた顧客の方は、次の試合に向けた準備にレーダーを活用して、大会が終わった後には総括のレポートを協会に提出して、ステップ【4】の『集まったデータを、データベース化する』。そういった取り組みはあると思いますね」
第2回のコラムで取り上げた、分析の4ステップの第四段階であるデータベース化も、「データの見える化」と言えるだろう。【1】~【3】のステップを何年も何周も繰り返して、ためたデータを次に活かせるように、見えるようにする。
あるチームのCBのデータが10年分集まって「見える化」すれば、過去のこの選手はここが良いけど、今度はこういう選手を獲得したい、といったスカウティングに役立てることができるようになる。
上記、いくつかの事例を振り返ると「データの見える化」とは、新たなコミュニケーションを創出すること、とも言えるだろう。単にパス成功率、走行距離、スプリントの本数といった端的なデータを示すだけでなく、データに意味を持たせて、もう一歩踏み込んで“人間対人間のコミュニケーション”を生み出す。
データを生かすも殺すも、結局のところは人間なのだ。
(取材・文:本田千尋【デュッセルドルフ】)
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