グループの行方を大きく左右する日豪戦は豪州優位か
ミリガンのボランチやCBでの起用は大きなオプションになり得るだけでなく、彼の運動量とメンタリティがチームにもたらすメリットは計り知れない。これほど使い勝手の良い選手は世界でもあまり他に例を見ないのではないだろうか。31歳になり、まさに円熟の境地に入りつつあるミリガンの存在は、かつて3シーズンにわたってプレーした日本との大事な試合でも、さらに重要性を増してくるに違いない。
単純な比較論が意味を持たないのは重々承知だが、「ホームでUAEに負けた日本」と「アウェイでUAEに勝った豪州」を比較すると、メルボルンでの日豪戦を考えるとき、正直日本は勝てるのかという気にさせられる。
日本のベンチにはケーヒルのような高い決定力を誇る「ジョーカー」はいない。ミリガンのような熱いプレーで複数ポジションを水準以上にこなせる“究極のユーティリティ”もいない。ヴァイッド・ハリホジッチ監督には、ポスタコグルー監督のような戦術的な柔軟性があるのか…
日本はイラクとのホームを戦ってからメルボルンでの決戦に臨む。一方の豪州は現時点でグループ首位を争うサウジアラビアと酷暑のアウェイ遠征に臨んだ後、とんぼ返りとなる。移動の負担や日程的に恵まれているのは、むしろ日本だ。それでも、今回の日豪戦、現時点での豪州優位との予想は動かないような気がする。
(取材・文:植松久隆【ブリスベン】)
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