入隊したからこそ分かったこと
「最も感じたのはサッカーができる喜びというか、切実な気持ち。軍隊に来る前に当然だと思っていたことを、軍隊に来て感謝するようになった。例えば…(彼はここで少し間を置いた)一般クラブでコーチとかスタッフに感じていた本当に小さな不満というか、愚痴とかが、ここで考えると実は“不満に思うこと”ではなかったと気付く。
一般クラブに在籍できて、プロとしてトレーニングするのが本当にいい環境に恵まれていたと感じた。だってここがいくらいい環境とはいえ、一般クラブに比べたらサポートも物足りない部分もある。実をいうと本当に足りない。
もし軍隊に来なかったら一般クラブでの生活にそのまま不満を持ったかもしれない。でもここにきてようやくそれは間違いだったことを知った。クラブ、スタッフにむしろ感謝しなければならないと心から思った」
多くの日本人は彼らのキャリアにひび割れができてしまうのではないかと憂いする。2年間の断絶は短所となるのか。モチベーション維持に難がありそうだ。しかし彼はこの2年間を振り返って決して損はなかったときっぱり。
「ここにきてサッカーができること自体が幸せ。だって、軍隊クラブに入れるのは一握りだ。もし入隊できなかったら一般の部隊に行くしかない。一般部隊に入隊したらそれはそれこそキャリアに大きい損になると思う。
だからここに来ること自体に不満を持つというのはまずないと思うし、そう考えてもいけないと思う。自分の置かれた状況でベストを尽くそうと思ったし、(除隊を目前にした)今でもそう」
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