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代表 8年前

最強ドイツ代表を支える分析会社“プロゾーン”の正体【サッカーデータ革命最前線―01】

シリーズ:サッカーデータ革命最前線 text by 本田千尋 photo by Prozone , Getty Images

数字を扱うも、重視するコミュニケーション

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ドイツ代表の各世代がプロゾーンのサポートを受けている【写真提供:プロゾーン】

 では「プロゾーンの仕事」の特色である“人間対人間のコミュニケーション”における、メリット、デメリットは何かあるのだろうか。

「今、デメリットとして思い浮かぶことは、そこまではありません。メリットとしては、実際にチームがどのように私達のアドバイスを役立て、ソフトウェアを使っているのかが、目に見えますね」

 外部からデータ分析のレポートを渡すだけでは、それが内部でどのように活用されているのかまで、確認することはできない。レポートにざっと目を通されただけで、すぐに捨てられてしまっている可能性もある。

 また今では、ただ「この前の試合のパス成功率は何%だった」と伝えるだけでは、選手側に何も響かない。プロゾーンであれば、現場でプレガー氏のような分析官が、データに“言葉”を付け加えることができる。噛み砕いて初めて、データも活きてくる。

 そしてプロゾーンの製品、つまりビデオカメラや、撮影した映像を加工・編集するソフトウェアなどが、実際にどのように使用されているのかを目視することも可能だ。

 こういった情報を事務所に持ち帰って、スタッフ同士で話し合うこともできる。このデータについては、選手達がよく話を聞いていた。このソフトウェアは、僕らはそんなにイチオシじゃなかったけど、チームはすごく喜んでいる。

 現場にプロゾーンの人間が溶け込むことによって、こうしたコミュニケーションの循環が生まれていく。プレガー氏が「やはり人間なので」と言うように、現場で人の感情に触れることができるのが、何より大きい。データもソフトウェアも、人間が使って初めて活きてくる。最後は、人対人、なのである。

 世界の中でもプロゾーンだけが、こうした包括的なサポートを行っている。それは一朝一夕に出来上がるものでもない。ドイツ代表が、00年のEUROで惨敗し、打ちひしがれていた頃から、14年のブラジルW杯で優勝し、再びの栄光を掴むまで――。それはプロとして仕事を全うしてきたからこそ、築き上げられたものでもある。

 EUROでは、現地にはプロゾーンのスタッフは帯同せず、外部からのサポートを行っていた。基本的にはドイツA代表の全試合で、試合の翌日の午後までには、何かデータが欲しいと言われれば、直ぐに出せるようなケアが行われている。

 いよいよ始まったロシアW杯の予選でも、プロゾーンは、ドイツ代表とともに戦っている。

(取材・文:本田千尋【デュッセルドルフ】)

【了】

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