溶け込むスタッフ。分析はすべて“オーダーメード”
プレガー氏は言う。
「例えば、外から来たよ、という感じではないんです。普段はフランクフルトにいないし、ドイツサッカー協会に籍を置いていませんが、チームの中に100%入ります。ドイツ代表の各チームにも分析の人間がついているのですが、そこに我々のスタッフが加わるんです」
そこに、私は外部から来ました、という雰囲気はない。不自然な様子は全くない。
溶け込んでいる、のだ。
現場では分析部門の中に入って、ドイツ代表のコーチングスタッフとコミュニケーションを行う。外部から、ボール支配率やパス本数の記された分析リポートを届けるだけではない。
そういった一方向的なサポートは、他の分析会社も行っていることだ。プロゾーンはそれだけに留まらず、現地に赴き、顔と顔を突き合わせ、意見交換をする。監督、コーチによって、コンサルティングの方法も変えていく。
「これまで数々の代表コーチの方々と知り合ってきましたが、やはり人間なので、それぞれ違ったやり方でこちらも対応することが必要になります。基本的にはコーチの指示を仰いで動くことになりますね。中には、映像が好きな方もいれば、データが好きな方もいる。好みは人ぞれぞれです。最後は、ドイツサッカー協会に籍のある方が判断します。代表側のスタッフですね」
プロゾーンのコンサルティングは、“オーダーメード”という日本語でイメージすると分かりやすい。顧客に対して、何かあらかじめ存在するパッケージを提示するのではない。まず何がしたいか、何がいらないか、など相手の要望を聴取した上で、サービスを提供していく。
「協会、リーグ、クラブ、そしてメディアが求めるものは、それぞれ違います。例えば、協会からは、この選手を代表に呼ぶかどうか検討しているので、その選手のデータが重点的にほしい、などの要望があります。クラブからだと、それが獲得を狙っている選手のデータになりますね」