最終予選を戦ううえでのリスク管理
五輪代表監督を兼任し、若手を積極的にA代表で起用してきたフランス人指揮官のチーム作りに、岡野会長は大いなる可能性を感じたという。そうした経験から、ブラジル大会で一敗地にまみれた日本代表がアギーレ体制で再出発した2014年秋の段階で、日本人コーチの必要性を強く説いていた。
トルシエ監督のケースとは異なるものの、それでもリオデジャネイロ五輪を戦い終えた手倉森氏がコーチとしてA代表に再入閣する形は“理”にかなっている。五輪後は海外での活動を視野に入れていた手倉森コーチも、再入閣した理由のひとつに「五輪の経験をA代表につなげること」をあげている。
最後のメリットは、アジア最終予選を戦っていくうえでのリスクマネジメントとなる。2試合を終えて3位につける日本代表は、ともに連勝スタートを切ったオーストラリア代表と10月に敵地で、サウジアラビア代表とは11月に埼玉スタジアムで対戦する。
2試合を終えてわかったことは、日本がアジアでは突出した存在ではなくなったという偽らざる事実。イラク代表を含めて、アジア最終予選を戦うライバル国との実力差がほとんどなくなった状況を踏まえれば、不測の事態に備えておくことが不可欠なのは言うまでもない。
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