ハリルと選手の橋渡し役に
今夏のリオデジャネイロ五輪でU-23日本代表を率いた手倉森誠監督が、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督に率いられるA代表のコーチに復帰することが、15日に行われた日本サッカー協会(JFA)の理事会で正式に承認された。
手倉森氏はハビエル・アギーレ前監督が就任した2014年8月から、A代表のコーチを兼任。ハリルホジッチ体制でも引き続きコーチを務めていたが、昨年10月からは五輪代表監督に専念していた。
アトランタ五輪以降を振り返ってみると、A代表監督を兼任していたシドニー五輪のフィリップ・トルシエ監督を除いて、ロンドン五輪まで指揮を執った4人の日本人監督は、いずれも五輪本大会終了後にJFAを離れている。
特にアテネ五輪を指揮した山本昌邦、北京五輪の反町康治、ロンドン五輪の関塚隆の各監督は、本大会前はA代表コーチを兼任していた時期もあった。歴代の日本人五輪代表監督とは異なる道を手倉森コーチが歩んでいくことで、A代表にどのようなメリットがもたらされるのか。
まずはハリルホジッチ監督と代表選手たちの間に、橋渡し役が生まれることだ。ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のハリルホジッチ監督は、フランス語圏での生活が長かったこともあり、フランス語でコミュニケーションを取っている。
JFAはフランス語に堪能で、指導者としてのキャリアをもつ樋渡群氏を通訳として登用。時に速射砲のごとくまくし立てることもある指揮官の言葉を、非常にわかりやすく選手たちやメディアに伝えている。
もっとも、就任から1年半が経過しても、ハリルホジッチ監督は選手たちの特にメンタル面を把握することに腐心しているという。たとえば、対戦相手をリスペクトしすぎるあまりに、プレーで気後れしてしまう傾向を、指揮官は初采配をふるった昨年3月から指摘してきた。